外務省専門職員
外務省専門職員は、人事院とは別に外務省が独自に実施している採用試験で、外交分野の専門家としての活躍が期待されます。
国家総合職の外交官は将来幹部候補の組織をまとめるゼネラリストの性格をもち、外務専門職は高度な専門性を発揮するスペシャリストという性格になります。
外務省専門職員員として担当言語を母国語とする地域に主に駐在し、主に在外公館(大使館・領事館等)での勤務割合が高いのが特徴です。
在外公館は世界200ヶ所以上にあり、諸外国との外交等の窓口となる機関として日本を代表して外務省等と連携しながら様々な交渉を行ないます。
他にもODA(政府開発援助)や法人保護活動、広報・文化交流活動など幅広い業務を行っています。
難易度は国家総合職に準ずる難しさを誇る非常に狭き門の公務員試験でもあります。独学で合格するのは難しく公務員専門学校や資格の予備校で学習することをおすすめします
外務省専門職員の魅力
外務省専門職員は、外交官の中堅職員として日本社会の平和と発展のために赴任地域では日本を代表して外国との交渉に参加できる貴重な職種です。
女性も数多く活躍しており外務省4分の1を占めています。これは中央省庁と比較しても高い数字です。育児休暇かなどの各種制度も充実しているので長期的なキャリア形成が可能となっています。
給与は一般的な公務員と同じ初任給は20万程度に設定されていますが、海外に赴任するとその分駐在手当などが付くので他の公務員に比べると高い給与水準になっています。
さらに、公務員は各種手当てに加え福利厚生の充実と高い退職金があるので経済的にはかなり裕福になると言われています。
初任給与額
【2011年度4月現在】 | |
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初任給 | 206,796円 |
諸手当 | 扶養手当、住居手当、通勤手当、残業手当、期末手当、勤勉手当(ボーナス) |
勤務時間 | 7時間45分 |
外務省専門職員の試験概要
受験資格(平成25年度)
- 平成25年4月1日における年齢が21歳以上30歳未満(昭和58年4月2日から平成4年4月1日までに出生)の者。学歴は問いません。
- 平成25年4月1日における年齢が21歳未満の者(平成4年4月2日以降に出生の者)で,次に掲げる者。
- 大学を卒業した者及び平成26年3月までに大学を卒業する見込みの者,並びに人事院がこれらの者と同等の資格があると認める者。
- 短期大学又は高等専門学校を卒業した者及び平成26年3月までに短期大学又は高等専門学校を卒業する見込みの者,並びに人事院がこれらの者と同等の資格があると認める者。
外務省専門職員の試験科目および内容(平成25年度)
試験 | 試験種目 | 解答題数 | 解答時間 | 内容 |
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第一次試験 | 基礎能力試験 (多肢選択式) |
40題 | 140分 | 【知能分野27題】 文章理解(11題)、判断・数理的推理(資料解釈含)(16題) 【知識分野13題】 自然・人文・社会(時事含)(13題) |
専門試験 (記述式) |
6題 | 120分 | 各科目3題出題、うち各科目2題選択解答 (憲法、国際法、経済学) |
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時事論文試験 | 1題 | 90分 | 1題出題 | |
外国語試験 (記述式) |
4題 | 120分 | 外国語和訳2題出題 和文外国語訳2題出題 |
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第二次試験 | 外国語試験 | 非公表 | 非公表 | 外国語で会話(面接) |
人物試験 | 非公表 | 非公表 | 個別面接(2回)・グループ討議 | |
身体検査 | 非公表 | 非公表 | 胸部X線撮影などを含む一般的身体検査 |
外務省専門職員の平成24年度試験実施状況
申込者数 | 1次試験全科目受験者数 | 1次試験合格者数 | 最終合格者数 | 合格倍率 |
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590 | 358 | 79 | 24 | 14.9倍 |
採用後は、入省後1ヶ月間研修所において研修を受け、その後外務本省に勤務し、再度研修所にて研修を受けると、研修語を履修するに適した国にある在外公館に外交官補として配属されます。
そして、職務に従事することなく当該国の大学などで研修語を約2~3年間在外研修という形で受けます。
在外研修終了後はそのまま現地の在外公館で勤務するか、研修語を母国語とする別の国の在外公館に転勤、または外務本省に戻って勤務となります。
その後は、5~6年周期で在外公館と本省を行き交い語学のみならず地域の社会、文化や歴史などにも精通した専門家として活躍することが期待されています。